こんにちは。とーじです。
表題の件、私なりにまとめてみました。いちクルマ好きの戯言かもしれませんが、ご興味があれば読んでみてください。
※2019年3月に書きました。
国産車の暗黒時代
私がミニバンを購入した2009年頃、国産車は暗黒時代といっていいくらい面白くなくなっていました。モノ消費からコト消費だと騒がれだし、さらにガソリン価格の上昇もあって、国産メーカーはこぞって燃費性能を訴求ポイントにしていました。「次はこの車がハイブリッドになる(だから低燃費になるぞ)」みたいな記事も多くありました。
そしてガソリン価格が落ち着いてくると「ハイブリッド車で(ガソリン代が浮くから)得するという考えは誤り」のような意見や記事が出てくるのです。カタログ燃費と実燃費の差もかなり大きかったですし、いつの間にかコストのことしか話題にならなくなって、若者はクルマに魅力を感じにくくなりました。
復活の予感
燃費性能はもちろん無視できませんが、燃費性能が高いだけで魅力的なクルマとは言えません。ドイツ車などの輸入車はそれをよくわかっていて、同時期にとても魅力的なクルマを数多く生み出しています。魅力的とは「見ただけ」とか「一度乗っただけ」で欲しくなる、感性に訴えかけるクルマです。
2019年になって私が感じるのは「国産にも魅力的なクルマが増えた」ということです。内外装デザインだけでなく見て楽しいクルマ、走って楽しいクルマがたくさん出てきました。国産車も輸入車と同じくらい「欲しくなる」ようになったわけです。暗黒時代に消えたワクワク感が、最近になってようやく復活してきました。さらに衝突安全性能・予防安全性能・通信機能なども進化し、燃費性能だけだった頃から商品価値がぐんと上がっています。
暗黒時代が国産車に遺した「負の遺産」
商品価値が上がったことによって、国産車の新車価格は大きく上がりました。トータル200万円以内で購入できるのは軽自動車くらいで、コンパクトカーでもナビなどのオプションや諸費用込みで250万円前後になります。快適装備や安全装備にこだわりだすと300万円を超えるのは容易いです。
国産車は日本の速度域の低さからか、安全性能でかなり劣ってきました。私が2009年に購入したミニバンも、後席中央にはヘッドレストがなかったですし、サイドエアバッグはオプションでした。
この目的はお察しの通りかと思いますが、最廉価グレードの価格を落としてプロモーションしやすくするためです(199万円~のように)。
しかし予防安全装備(スバルのアイサイトなど)の登場により、衝突安全性能にも改めて目が向けられ、今では標準で安全装備が整っているクルマが増えてきました。標準の性能が上がって価格が上がるのは当然なのですが、暗黒時代のクルマを見てきたお客からすると「値上げ」に見えるのです。
燃費性能と車体価格の安さ、お買い得感がブランドイメージにこびりついてしまった。これこそが暗黒時代の「負の遺産」ではないかと思うのです。
「負の遺産」を取り払うには
ブランドイメージを簡単に変えることはできませんから、商品価値が上がったことをとにかく伝え続けるしかありません。マツダはそのフックにデザインを使っています。スバルはずっとスポーティなクルマを作り続けていましたから、安全性能の向上はシナジー(相乗効果)になっていて価値向上を伝えやすいです。
今の若い世代はとても賢い子たちばかりです。なので、感性に訴えかけないと心が動きません。もともとクルマを欲しがってないので、燃費性能なんてどうでも良いのです。
所有することで特別な満足感や体験を得られる、世界観をもったクルマやブランドにだけチャンスがあります。私もクルマを愛する者の一人として何かできることがないか考え続けています。
それではまた。